訪問介護事業者として、介護保険給付費の請求を行う際には、国保連による審査が必要となります。しかし、時として請求情報の不一致により「返戻」という状況が発生し、給付費の支払いが遅れることもあります。今回は、返戻の主な発生理由とその対応方法について、具体的な事例を交えて解説します。
返戻の発生理由
国保連は以下の4つのデータを突合させて介護給付費の審査支払を行っています。
- 給付管理票 (ケアマネが提出)
- 請求情報 (事業所が提出)
- 受給者台帳 (保険者が提出)
- 事業所台帳 (都道府県などが提出)
これらの情報が一致しない場合、返戻が発生します。
返戻に対する対応方法
返戻が発生した場合、まずは国保連から送られてくる「請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表」を確認し、エラーコードをチェックします。エラーコードは返戻の理由を示すもので、これを基に問題の特定と対応を行います。
- エラーコードと事由の確認: 返戻一覧表にはエラーコードと事由が記載されており、これらを確認することで問題を特定できます。
- 必要な情報の修正と再提出: 問題が特定できたら、必要な情報を修正し、再度国保連に請求を行います。
- 台帳情報の確認と更新: 保険者の台帳情報に問題がある場合は、これを更新し、再請求を行います。
具体的な事例と対応方法
事例1:請求明細書と給付管理票の内容が一致していない
請求明細書と給付管理票の内容が一致していない場合、給付管理票の記載内容に基づいて請求が審査されるため、請求明細書の内容が正しく反映されていないと返戻となります。
- 対応方法:
- 請求明細書と給付管理票の記載内容を照らし合わせて、誤りがないか確認します。誤りが見つかった場合は、請求明細書を修正して再提出します。
事例2:給付管理票の提出が遅れている
給付管理票の提出期限は、サービス提供月から起算して2ヶ月以内です。提出が遅れると、請求が受理されず、返戻となります。
- 対応方法:
- 給付管理票の提出期限を守って提出します。提出が遅れそうな場合は、早めに居宅介護支援事業所や地域包括支援センターに連絡して、提出方法を確認します。
事例3:給付管理票の記載内容に不備がある
給付管理票の記載内容に不備がある場合、請求が審査されず、返戻となります。
- 対応方法:
- 給付管理票の記載内容を確認し、不備がある場合は修正して再提出します。また、給付管理票の記載方法については、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターに確認し、正しい記載方法を学びます。
他にもたくさんの事例が発生する可能性があります。一つ一つ丁寧に状況を理解し、対応していくことが大切です。
まとめ
返戻は介護事業者にとって厄介な問題となることがありますが、返戻の理由を正確に理解し、適切な対応を行うことでスムーズな請求処理を実現できます。返戻の発生を最小限に抑え、訪問介護事業の運営をより効率的に行うためには、常に最新の情報を確認し、必要な対応を速やかに行うことが重要です。