介護職員等特定処遇改善加算とは?
「介護職員等特定処遇改善加算」とは、技能・経験のある介護職員の処遇改善を目的として、2019年10月に創設された制度です。
これを取得すると、以前紹介した2012年創設の「介護職員処遇改善加算」に上乗せする形で加算されます。
(介護職員処遇改善加算に関する記事はこちら:「訪問介護の処遇改善加算とは」)
2017年に閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」で定められている「勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行う」という方針に基づいて、制度が作られました。
長く働いても給料が上がらないという介護業界のイメージの払拭や職員の定着率の低さ、人材不足を解消する狙いがあります。
介護職員等特定処遇改善加算の対象者と算定要件
特定処遇改善加算の対象者は、経験・技能のある介護職員です。
基本的には「勤続10年以上の介護福祉士」が対象ですが、「勤続10年以上」というのは必須ではありません。
他の職場での経験もカウントに含めることができますし、経験や技能が認められれば勤続年数が10年以下でも特定処遇改善加算の対象となります。
介護職員特定処遇改善加算の算定要件は、大きく分けて3つあり、すべて満たす必要があります。
- 処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得していること
- 処遇改善加算の職場環境等要件に関し、複数の取組を行っていること
- 処遇改善加算に基づく取組について、ホームページ掲載等を通じた見える化を行っていること
算分の配分については、一定のルールが定められているものの事業所の裁量ででき、柔軟な運用も認められています。
訪問介護における加算率
介護職員等特定処遇改善加算の加算率は、介護職員等処遇改善加算と同様に、サービスによって異なります。
介護福祉士の配置割合等に応じて加算ⅠとⅡの2段階に分かれています。
対象のサービスを一部ピックアップすると、それぞれの加算率は以下のとおりです。
サービス区分 | 加算Ⅰ | 加算Ⅱ |
訪問介護 | 6.3% | 4.2% |
(介護予防)認知症対応型通所介護 | 3.1% | 2.4% |
介護老人福祉施設 | 2.7% | 2.3% |
通所介護 | 1.2% | 1.0% |
訪問介護の加算率は、加算Ⅰ=6.3 %、加算II=4.2%で、対象サービスの中で最も高い加算率となっています。
介護職員等特定処遇改善加算によって、介護現場で長く働く職員の給料をさらにアップできるようになります。
該当するサービス・事業者は、介護職員等処遇改善加算に加えてこの加算もぜひ取得し、介護職員への待遇をより良くしていきましょう。
参考:
・新しい経済政策パッケージについて - 内閣府 https://www5.cao.go.jp/keizai1/package/20171208_package.pdf
・令和4年度介護報酬改定について https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000903044.pdf
※この記事の内容は令和5年2月28日現在のものです