訪問介護の事業者とって職員の離職は大きな問題です。どのような理由で離職してしまうのでしょうか。
データに基づいた離職理由は以下の通りとなります。
主な離職理由
人手不足に関する悩み
令和2年度の介護労働実態調査によると、52.0%の介護職員が「人手が足りない」という理由で離職しています。これには労働条件の悩みや不安、不満などが含まれます。
職場の人間関係
2020年の調査では23.2%の介護職員が職場の人間関係のトラブルやストレスを理由に離職しており、これは最も高い割合です。介護職では、職員同士だけでなく、要介護者本人や介護者家族とのコミュニケーションも必要であり、トラブルが起こりやすいとされています。
結婚・妊娠・出産によるライフスタイルの変化
2020年には20.4%の介護職員が結婚、妊娠、出産などのライフスタイルの変化に伴い離職しています。介護職は女性の比率が高く、産休や育休制度が整っていない事業所も多いため、このような理由での離職が多いと考えられます。
事業所への不満
2020年の調査では17.4%の介護職員が事業所への不満を理由に離職しています。これには介護事業所や運営法人に対する不満が含まれます。
将来のキャリアに対する不安
2015年と2020年の調査で16.4%の介護職員が「自分の将来の見込みが立たなかったため」に離職しています。
他に良い仕事があった
2015年で18.8%、2020年では16.0%の介護職員が業界外に良い仕事を見つけたり、条件の良い他の介護事業所に転職したりしたことが理由です。
収入が低い
2020年では15.5%の介護職員が収入の低さを理由に離職しています。
新しい資格を取得した
2020年では10.6%の介護職員が新しい資格を取得して介護の仕事から離職しています。
事業所としての対策
人手不足が理由で離職してしまう人が増えるということは、人手不足に拍車をかけてしまうことになります。事業規模縮小などに追い込まれてしまうこともあります。人手不足にならないよう適正な仕事量の管理が経営陣に求められるのではないでしょうか。
人手不足の解消のためにはIT化による省力化や外国人人材の積極的な登用なども検討の価値があります。
人間関係が悪い職場にならないように心がけることも大切です。人間関係の調整や、目立たない人に対する気配りなどもしていかなくてはなりません。
また、事業所への不満という退職理由も人手不足や人間関係が密接に関係していることは大いにあることだと思います。
職員はどうすれば良いのか
人手不足だから、人間関係が悪いから辞めるのが本当に正しいのでしょうか。次の職場に行っても同じことになる可能性もあります。一人の職員が出来ることは限られていますが、今の職場を改善できるよう信頼できる人と手を取り合って努力していくことも必要です。仮に今の職場で上手く行かなくても、その努力は介護職員のキャリアとして後々の人生に役立つことでしょう。